【評価/感想】カガミハラ/ジャスティス
「問おう。お前にとっての正義とは何か?」
(大きく出たな という感じの今作の序文)
eshop/1980円 booth/1500円
やや竜頭蛇尾なボリュームのあるノベルゲーム
65点/100点
序盤は謎が謎を呼んで面白かったのですが
途中で少し勢いがストップしてしまったのが残念でした
やはりお話を畳むのは難しいですね
(頑張ってネタバレしないように書きます!)
スケール感の膨らみについて
今作は3部作に分かれていて最初から各部のタイトルを見られます
第一部「子供と〇〇と〇〇の話」
学校が舞台っぽいですからね
第二部「子供と大人と〇〇の話」
大人も色々抱えてますからね お話が広がりそうです
第三部「子供と大人と戦争の話」
ジャスティス=正義をそこまで広げるのかあ……
これが最初の感想でした
序盤、ゆるゆる学園モノのようなフリを見せつつ
ヒーローという一見正義でありそうな存在を巧みな描き方で謎たっぷりに魅せてくれます
第一部だけなら95点くらいあります
第二部は一人一人のキャラクターにそれぞれ焦点を当てたストーリーなのですが
同じような展開を繰り返すこともありややダレます
ただ戦争の影が見えてくる緊迫感もあり70点くらいはあります
ただ第三部に入ってからの広がりがあまりなく 目的、手段、展開がいずれも少し甘く個人的にはイマイチでした
元々は一部ずつ開発・頒布していたようなので
年月のせいか当初の勢いが失われ、綺麗にまとめることに重点が置かれすぎたのかと想像しています
少々残念です
キャラが薄い
主要メンバーのバックボーンがほぼない 又はあっても他の人と被っている
というのが多く人物像がやや浅いです
キャラの味付けの濃い薄いではなく感情移入するに足るだけの情報を十分に開示できていないような気がしました
ストーリー重視で作っているとしても 悲劇をより際立たせるには大切なことだと思います
(こういうふざけた演出も一度きりで良かったのやら悪かったのやらです)
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公式ホームページで最後まで遊べるフリー版をダウンロードできるのでそっちをやるといいかもしれません
おまけシナリオは有料版にしかありませんが本当にオマケ程度でしかないので気にしなくていいです
気になった人はフリー版を遊んで
面白かったらお布施として買うといいと思います
たまにあるセールで買っても悪くはないと思いますが
【評価/感想】ハーヴェストグリーン
「」
(農業シミュなので印象深い文章がありません)
eshop/1320円 Dlsite/1100円(PC版) playストア/550円(スマホ版)
ひたすら動植物を育てるゲーム
75点/100点
この画面がこのゲームの全てです
ダンジョンに潜るだとか 誰かと結婚するだとか
そんなイベントは全くありません
ただただ種を撒き、収穫します
でも好きなゲームなんですよね……
単調? 純粋?
乱暴に言えばクッキークリッカーです
数字を増やすために数字を増やして数字を増やすゲームのことです
単調なゲームになりがちですが、純粋に1つの目標のためだけに前提を組み立ててゆく作業は純粋でもあります
今作は料理をしたりペットを育てたりという要素もありますが
結局全ての行動は作物をより良く、より多く育てるという1点を指向しています
単純に1つのことをさせるのではなく、様々な行動の結果がいつの間にか1つに集約される今作はクッキークリッカーの成功例であると言えます
また 良い作物=良い料理=高収入という関係なので
自分の好きな目標に焦点を合わせてプレイしても全体が渾然一体として動作します
よって損を被ることなく好きなことができるのも飽きが来にくく良い点です
(地名が沢山あってそれぞれにたゃんと設定がありますが 街から出ることはありません 純粋なゲームです)
シンプルすぎるのは流石に……
自分はノベル系も好物だったり、ローグも全然遊べるのでいいのですが
一般的にほぼテキストのみの1画面で構成されたゲームはこのご時世受け入れられ難いと思います
(この農作物アイコンが今作のポップさの限界です)
時間制限がないので遊びやすいうえに、挿入されるストーリーもキャラへの愛着が湧きやすく
多くの人にプレイしてもらえるだけの素地はあると思うので残念です
まあ10年以上前のゲームの移植なので仕方ない面しかないですが
一応現代基準で評価しておきました
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期限、タイムリミットというものが全くないのが良いです
農業ゲーは大抵ハイスピードスローライフになりますが今作は本当に好きなペースで遊べます
挟まれるミニストーリーもいい息抜きです
やっぱり普通に農業ゲーが好きな人
そして数値を増やすのが好きな方(?)は遊んでみて下さい
ゲーム画面を見て尚やる気を失わない方ならきっとイケます
【評価/感想】リーガルダンジョン
「美徳は0.5点 窃盗は2点 殺人は15点」
「巧みな変装を覚え 巧みな偽装を覚え 恥は覚えず」
(本作には印象的なセリフが沢山用意してあります)
警察機構体験ゲーム
eshop/980円 steam/720円
90点/100点
今作の内容がどこまで事実なのかは分かりません
しかし真正面から描かれた警察機構の「裏」はおどろおどろしいリアリティを持っていて単なる物語とは思えません
自分の社会の見方すら少し変えられてしまったのを感じます
法律をゲームに落とし込んだ上手さ
例えば本作で反意思不罰罪というものがあります
被害者が処罰を望まないなら被疑者を公訴できない種類の罪のことです
実はこれ日本には存在しません 作者のSOMI様の韓国には存在します
このことに自分は全く気付きませんでした 日本にもあるのだろうと思いました(無知……)
なぜ自分が騙されたのか、それは法律というものが非常にロジカルだからでしょう
論理的だから普遍的で、それゆえ誰の心にもすんなりと入ってきます
(自分みたいな阿呆でも丁寧な説明でよく理解できました)
今作はその本文、理由、適用、実践例を丁寧に知ることができます(ほぼ本物の)
だから主張の強いストーリーに多大なリアリティを与えることに成功しているのです
それを活かす翻訳
本作の翻訳はプチデポットのしごと氏、ことり氏が缶バッジ一枚を対価として担当しています
愛のなせる技としか言いようがありません(switch版では翻訳料貰ってますように)
誰がどう見ても元々日本人が書いたとしか思えない文章は勿論のこと
選択させられるテキストの整合性は完璧で
登場人物の名前や印鑑(!)まで完全に日本仕様になっているのには舌を巻きました
リアリティを演出する上でこの種の没入感は非常に重要な役割を果たしていました
ゲームとして
ゲームとしては逆転裁判などと同じ弱点をそのまま抱えています
やりたいことは明確なのに適切なテキスト、アイテムが見つからない苛立ちです
が今作のそれが特に酷い訳ではないので大きな問題ではないです
(テキストは沢山あるので頑張って探します)
被疑者を告訴するかどうかの決定をバトルという形式で表現したのは良い取り組みでした
告訴する、しないの判断 という一見地味な行為を倒す、倒されるという直接的に感情を誘発する行為に置き換えたのは間口を広げるという意味でも良いです
(敵のHPは2なので2つ根拠を見つければ起訴意見で送致です!)
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ストーリーもめっちゃ面白いです
ミステリが好きな人も満足できると思います
個人的には「うーん」なデキだったレプリカからよくここまで進化しました
既存のADVの枠組みを流用しつつもアイデアをもり込み
特に作者の意見を伝えるという点では非常に優れたゲームです
個性のあるゲームをしたい方
印象に残るゲームをしたい方にオススメです
(物語に対する印象は書きませんでした 是非自分で体験して欲しいので)
【評価/感想】Haven
「灯りを消してやるのか? それもいいな…」
(イチャイチャというか下ネタもかなり多い今作の台詞)
eshop/2750円 steam/3080円
丁寧に丁寧にイチャイチャを見せつけられるゲーム
70点/100点(エラー落ちがなければ85点)
Heaven(天国)ではありません Haven(避難所、安息の地)です
激甘カップルのイチャイチャを見たいですか?
と聞かれて遊んでみたくなるか否か が今作をプレイすべきかどうかの答えです
細部の作り込み
ストーリー自体は特色があるとはいえそこそこ程度のクオリティです
戦闘も思ってたよりライトな仕上がりで面白かったですが 楽しみのメインとまでは言えません
真に今作を彩るのは採取時のセリフ、ロード画面、就寝時のやり取り、などの非常に些細な場面たちの多様さです
(こういうロード画面がたくさんあるので、ロードが少し楽しみになります)
特に作り込みを強く感じたのは「種集め競争」のセリフです
2人が集めた植物の種の数を競う長いスパンのイベントなのですが
その時その時の2人の種獲得数によって細かくセリフが用意されているのです
「まだ1つも取れてない……」「巻き返した!」
などの進行にピッタリ寄り添ったやり取りを見せてくれるので、とても没入感を高めてくれます
同じ動作であってもそれに対するリアクションが豊富であれば飽きが来にくいものです
今作の戦闘、探索はやや単調ですが付随するリアクションが多彩なので最後まで楽しめました
(インディーの割に3Dモデルがよく動きます)
マニア向け?
細部に拘った良いゲームだと思います
ストーリーの軸が甘々カップルというのも物珍しいです
でもそれって本質的に面白いのとは少し違いますよね?
ちゃんと面白い要素をガツンと見せてくれるのが「普通の面白いゲーム」だと思います
でも今作は戦闘そこそこ、探索そこそこ、ストーリーそこそこ です
つまり今作は「普通の面白いゲーム」に飽きた人が、新たな体験や上質な体験を求めて買う
というのが最も適していると思います
もう少し探索を面白く作り込んでいれば名作と呼んで差し支えなかったかもしれないのでちょっと残念です
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現在switch版は少なくとも1時間に1回はエラー落ちするので手放しにはオススメできません!
オートセーブが頻繁に入るのでダメージは少ないですが(2021/2/13現在修正するつもりはあるとのこと)
あとフルボイス(英語)です
甘々カップル観察ゲームか、珍しいからやってみよ! という方は十分満足できると思います
それだけのクオリティはあります
【評価/感想】東方の迷宮 天貫の大樹
「総勢40人以上の登場キャラからチョイスした12人パーティで、ダンジョンを生き抜けろ!
東方project二次創作 ちょいムズダンジョン探索RPG。」
(ちょいじゃねえだろ! とツッコみたくなる紹介文)
快適な高難易度RPG
筆者の参考プレイ時間 :表クリアまで60時間弱
95点/100点
eshop/5280円 PSstore/5280円 (DLsiteで同等品が3300円でした)
明らかに世界樹シリーズを意識したタイトルとロゴですが、あまり世界樹っぽくはないです
DRPG要素は全くありません
(どうせお前らミニマップ見て歩いてんだろ? って語りかけてくるマップ)
ただ高難易度のRPGとしてはとても楽しく、遊びやすく 素晴らしかったです
(自分は難易度ハードで表クリアまでとりあえずやりました 以降もハード基準で語ります)
RPGの弱点に取り組む
レベルという概念を導入し、多くの人にとって遊びやすくなったRPGには構造的欠陥があります
それはプレイ時間=強さ という覆せない関係です
高難易度を求める層は工夫や上達が成果に反映されるのが嬉しいのです……
(レベリングの効率化という楽しみもありますが)
しかし、この問題を今作はやや強引ながら類を見ない水準で解決しています
今作のボスは全て推奨レベルがはっきり分かるようになっています
(このボスはLv4以下にしてから挑まねばなりません)
推奨レベル以下のパーティーで倒すとご褒美のステータス上昇アイテムが2つ貰え
ハードモードだと推奨レベル以下を義務付けられます
(レベルは好きに下げたり戻したりできます)
一見地味ですがこれは高難易度を求める層には非常に嬉しい取り組みです
キャラの強さ自体にはすぐ制限がかかってしまい、そこから先は自分の工夫でどうにかすることを強制されるのですから
ボスをあっさりと倒してしまったとき「レベリングしすぎたかな……」などという無駄な悩みを抱える必要はもうありません
キチンとした制限下で好きなだけ考えを巡らせてよいのです、と言い換えることができます
レベルを上げすぎた分はスキルポイントとして強さにある程度反映されるので
努力が徒労に終わったという不満が出ないような配慮もしっかしています
厳しさと優しさ
経験値は控えメンバーにも100%入る ステータス振り直し自由 お金さえ払えばいくらでもステータスを強化できる デスペナなしの秒速リトライ……etc
並のRPGならヌルいと言われるかもしれないほど今作は親切なシステムを備えています
(ステータスもレベルもサポート充実で変更し放題)
なぜここまで親切なのか、それはもちろん難しいからです
ボスごとの属性やパターン、デバフや状態異常耐性を見極めて編成・装備・ステータス・スキルを変更するのが必須なだけでなく
ベストな編成を用意しても運が良くないと後半のボスは倒せません
ボスと雑魚用にスキルを何度も振り直したり
何度もボスに全滅させられながら編成を調整したり
正直堪え性のない人には辛いと思います
(情報量の多いステータス画面)
でもそれだけにボスを倒せたときの感動はひとしおなんです(強調)
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レベルデザインがとても良くできていたのが印象的でした
レベリングらしいレベリングをする必要もほぼなかったように感じられます(しても意味がないとも言う)
東方二次創作にしてはストーリーが苦痛ではないのも記しておきたい点です
唯一の欠点を上げると後半の仲間を増やす条件が分かりづらすぎます
まあもうwiki見ればいいんですけど はい見ましたよ 見てください
(東方二次創作名物 大量のキャラクター)
高難易度RPGを求める方にはぜひオススメしたい作品です
なんか少し見た目は安っぽいですが中身は最高です
(チラっと調べると 表クリアから先はガンガンジャラジャラ金と経験値をかき集めるゲームに変貌するようです これはこれで楽しみ)
【評価/感想】Touhou Luna Nights
「――さぁ、私の世界を始めるわよ」
(端的な本作の説明)
現代的要素を加えたメトロイドヴァアニア
65点/100点
eshop/1840円 steam/1840円
プレイヤーに大きなズルをさせることで快感を与え
その「ズル」を最終的にはボス攻略の必須ギミックとして嵌め込み、見た目もハデに演出する
そんな流行りの1つをよく表したゲームであると思います
時止め&スローモーション
今作を象徴する2つのズル、似ているので「役割被ってない?」
となりますが分けることには意味があります
それはボス戦において各瞬間の難易度選択が可能になることです
(降ってくる槍を躱すシーン 時を止め逃げてもいいし スローでギリギリ回避してもよい)
時止めは安全に攻撃を回避できますがリターンが少ないです
対してスローモーションは被弾のリスクが高まるがリターンが大きく、HPまで回復できます
(慣れたら両方使わなくてもいいです)
同じ攻撃に対して複数の選択肢が与えられることで、回避するだけの2Dアクションとは少し違う深みがあります
本ブログで何度も言っていますが選択肢が多い=素晴らしい と基本的に自分は考えています
その点今作のボス戦はよくできています
古い中身
企画は現代的なトレンドを考え作られていると思います
しかし中身は旧世代的です
顕著なのは無駄な行き来の多いマップです
ワープポイントも少なく、成長したことによる救済もないので
取り逃したアイテムを取りに戻るのが面倒くさいです
その行き来を面倒にする道中のギミックも取ってつけた感があります
ゼルダで良くある新アイテ厶専用のギミックを用意してくる奴と同じ感覚です
これはあまり楽しくない……
(時をイジらないと進めないギミック しかも何度も行き来することになる)
ボスの攻撃パターンが固定な上に短いのもあまり好ましくありません
もう少しランダム要素を入れるか、サイクルを長くするとアクションゲームらしくなったと思います
(マップがほぼメトロイドそのものな辺り、もしかしたらある程度意図した不便さなのかもしれませんが……)
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不満の分量が多くなりましたが、面白かったです
それでもショップとお金に関するあれこれは失敗じゃないでしょうか
あと通常攻撃にもMP消費を強いるのは好みが分かれると思いますし、UIはオシャレ重視すぎると思います
メトロイドヴァニアが好きな方にはオススメできると思います
【評価/感想】Morbid: The Seven Acolytes
「漁村として栄えていたソルヤは〜」
(正気度ゲージもあるよ! な今作中の1文)
eshop/2570円 PSstore/2530円 steam/2570円
70点/100点
見た目の割に遊びやすいソウル風ゲーム
明らかにをブラボ意識した世界観! 明らかにソウルを意識したモッサリ挙動!
なのになぜこんなに遊びやすいんでしょう
ガワだけフロム
パリィ ローリング モッサリした攻撃モーション エスト瓶的なやつ
そして漁村が出てきたときソウルライクだと思わない人はいないでしょう
(ぽさしかない)
しかし今作はデスペナがなく ローリングを多用でき パリィ失敗しても防御にはなります
そしてボスはそこそ強いですが あくまでそこそこです
ソウルライクというかインディーは無駄に高難易度になりがちですが
今作はそこそこ程度のゲーム好きにも安心してオススメできる難易度です
及第点
武器のモーションは意外に多様で銃もあることから武器の選定は楽しいですが
結局ヒット&アウェイとパリィにでがちなのはよくないです
(これ使えるな、とか見比べるのは楽しい)
武器にルーン(付加能力)をハメるのは楽しいですがそれに関するUIがボロボロです
属性の違いもよく分かりませんし 武器を使い分けないのでランダムドロップにする意味を感じません
レベルアップで手に入るポイントをスキルに割り振るのが成長要素
というのはいいですが常時被ダメ減少とかをここに入れるのは駄目だと思います
絶対そんなん育てるしかないじゃないですか
その他大きい問題点はありませんが他にも細々としたストレスポイントがあり傑作とは中々言いづらいです
間違いなく佳作ではあると思いますが
(今作で最強の敵 固定されてて近づくと触手を振り回すやつです 存在を削除してほしい)
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マップがないので辛いと感じる人がいるかもしれません
それでもかなり万人ウケに寄せたゲーム作りなのに
ちょっとグロ過ぎて損してる感があります
(こういうの見るだけでやる気を失う人も多いと思います)
世界観までフロム寄りなのはどうかと思うので
次回作はぜひもっとオリジナリティを出して頂きたい所です
グロくても別にいいよ! なアクションゲーム好きの方は買ってみて下さい
過度に恐れる必要はありません
P.S
ガハールとは戦えないのかな?