コッペンのゲーム備忘録(主にswitch)

多分ゲームのレビューや感想をボロボロと垂れ流します

【評価/感想】リーガルダンジョン

「美徳は0.5点 窃盗は2点 殺人は15点」

「巧みな変装を覚え 巧みな偽装を覚え 恥は覚えず」

(本作には印象的なセリフが沢山用意してあります)

 

警察機構体験ゲーム

eshop/980円 steam/720円

 

90点/100点

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今作の内容がどこまで事実なのかは分かりません

しかし真正面から描かれた警察機構の「裏」はおどろおどろしいリアリティを持っていて単なる物語とは思えません

自分の社会の見方すら少し変えられてしまったのを感じます

 

法律をゲームに落とし込んだ上手さ

例えば本作で反意思不罰罪というものがあります

被害者が処罰を望まないなら被疑者を公訴できない種類の罪のことです

 

実はこれ日本には存在しません 作者のSOMI様の韓国には存在します

このことに自分は全く気付きませんでした 日本にもあるのだろうと思いました(無知……)

 

なぜ自分が騙されたのか、それは法律というものが非常にロジカルだからでしょう

論理的だから普遍的で、それゆえ誰の心にもすんなりと入ってきます

(自分みたいな阿呆でも丁寧な説明でよく理解できました)
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今作はその本文、理由、適用、実践例を丁寧に知ることができます(ほぼ本物の)

だから主張の強いストーリーに多大なリアリティを与えることに成功しているのです

 

 

それを活かす翻訳

本作の翻訳はプチデポットのしごと氏、ことり氏が缶バッジ一枚を対価として担当しています

愛のなせる技としか言いようがありません(switch版では翻訳料貰ってますように)

誰がどう見ても元々日本人が書いたとしか思えない文章は勿論のこと

選択させられるテキストの整合性は完璧で

登場人物の名前や印鑑(!)まで完全に日本仕様になっているのには舌を巻きました

リアリティを演出する上でこの種の没入感は非常に重要な役割を果たしていました

 

ゲームとして

ゲームとしては逆転裁判などと同じ弱点をそのまま抱えています

やりたいことは明確なのに適切なテキスト、アイテムが見つからない苛立ちです

が今作のそれが特に酷い訳ではないので大きな問題ではないです

(テキストは沢山あるので頑張って探します)
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被疑者を告訴するかどうかの決定をバトルという形式で表現したのは良い取り組みでした

告訴する、しないの判断 という一見地味な行為を倒す、倒されるという直接的に感情を誘発する行為に置き換えたのは間口を広げるという意味でも良いです

(敵のHPは2なので2つ根拠を見つければ起訴意見で送致です!)
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ストーリーもめっちゃ面白いです

ミステリが好きな人も満足できると思います

個人的には「うーん」なデキだったレプリカからよくここまで進化しました

 

既存のADVの枠組みを流用しつつもアイデアをもり込み

特に作者の意見を伝えるという点では非常に優れたゲームです

 

個性のあるゲームをしたい方

印象に残るゲームをしたい方にオススメです

 

(物語に対する印象は書きませんでした 是非自分で体験して欲しいので)